メルボルン Banyule City SC・伊藤拓夢選手のインタビュー

メルボルン Banyule City SC・伊藤拓夢選手のインタビュー

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手インタビュー

メルボルンのサッカーリーグ、State League 1のBanyule City SCで活躍している伊藤拓夢選手。

オージーにも負けないフィジカルの持ち主で、積極的に攻撃参加する闘志溢れるサイドバック。

個性的な選手が揃っているBanyuleの中でも、彼らに負けない個性と強さを見せる。

間違いなく今以上のリーグでプレーができる、プレーの質・強度面でも頼りになる超主力。

相手が驚く高さと上手さがある守り、攻めても「ゴールへ」としっかりとした意思が見えるプレーをする選手です。

初めてお会いした試合の時は、怪我で出場できずで写真も撮れませんでしたが、わざわざ声をかけてくれた笑顔の素敵な好青年。

オースポ!

メルボルンでの試合から

試合はサイドバックでしたね?

ずっと長くやってる本職はセンターバックですけど、こっちに来てから、ずっとサイドバックやってます。

全然というか、ほぼやったことが無いポジションで、公式戦でサイドバックなんて、数えるほどしかなかったんで、最初は普通に難しかったです。

だけど仲間にアドバイスをもらったりとか、だんだん理解していって、ポジショニングとかそういうのでも、結構慣れてきたってのはあります。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

今はサイドバック、めっちゃ楽しいですね。

攻撃はできても、センターバックは基本、本当に「守り」じゃないですか?

センターバックはミスしたらダメなポジションですけど、でもサイドバックだったら、攻撃参加して、チャレンジすることができるじゃないですか?

失敗してもチャレンジできる、今はそれが楽しいっすね。

この前の試合、下がれって言われたの気づいた?

たまーに無視してるっすね。

なんかまだ日本でやってた基準と、こっちの基準で、いやいやここは違うだろみたいなのが自分の中であって。

点取りたくて、「サイドバックで上がりすぎ」って良く言われます、というかめっちゃくちゃ言われます(笑)

もう何回言われたかわからないくらい、毎回言われてるっす。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

センターバックとサイドバック、どっちがいい?)<記者>

迷うっすね、めっちゃ迷うっすね(笑)

来た時はセンターバックだったんですよ。

今はサイドバックなんですよね。

気持ち的に楽なんですよね。センターバックより。

全部思いっきりできるみたいな。

走るのも好きなんで、だから上がるのも好きだし。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
元々のポジションはどこだったの?

攻撃する際の動作や姿がナチュラルすぎて、センターバックっぽくないですが?)<記者>

高校1年生までフォワードでした。

フォワードやってたり、中学校3年生の時にちょっとボランチやってたりとかで。

いろんなポジションやりながら高校生まできて、高校1年生の途中でセンターバックになりました。

高校にもフォワードとして入って、高1の最初の頃は、ずっとフォワードやってたんですよ。

だけど、夏休みの合宿ぐらいで、試しにセンターバックで使われて、そしたらセンターバックがいいってなって。

そこからずっとセンターバックです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

自分の意志でのポジション変更?)<記者>

自分もなんか好きだったんですよ、センターバックやってて、楽しくて。

点を取るのは、むっちゃすきなんですけど。

いろんなストライカーがいるじゃないですか?

高校でセンターバックやり始めた頃は、俺がいるから「点が取れない」って思わせたいなって。

いろんなこうやっぱ、ストライカーって、自信があるじゃないですか?

「俺、点取れるぜ!」みたいな。

だけど、あいつが居るから点取れないなとか、あいつが居るからシュートが打てないなみたいな。

そう思わせるほうが楽しくなって、それでセンターバックがどんどん楽しくなって。

結構何回か意図的に見えるファールをやっていましたが

「俺はやってない」風で、でも周りから見るとバレバレな感じでしたよ(笑))<記者>

前半はあれはわざとです。

昔からこんな感じですか?)<記者>

いや、大学とかはまったくないっすね。

多分、こっちきてからですね。

何か理由があってそうしてやろうと?)<記者>

やられたから、やり返そうみたいな?

それもあるし、ずる賢いとかも大事じゃないですか?

あと外国人って、めっちゃすぐ切れるじゃないですか?

すぐ切れるから、怒らせて冷静さを無くさせたほうが、こっちに有利だなって思ったんですよ。

日本人ってずっと冷静じゃないですか?すぐ怒らないし、ラフにもならないし。

でもこっちの人は、もうすぐ頭に血が上って、悪口言ったり、ラフプレーしたりとかし始めるんですよね。

だからそれを利用して、イエローとかレッドとかカードを出させたら、こっちに有利じゃないですか?

ちょっとわざとそんな感じで利用して、ファールをさせるようにしてるっす。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

怒らせたら怖くないですか?)<記者>

でも怖がってら終わりだから。

競り合いとかは得意なんで。

こっちの人、体が大きいから危なくないですか?)<記者>

確かにでかい人多いっす。

腕がむっちゃ強い、足とかもラグビーとかやってそうなくらい(笑)

めっちゃでかい人だと、当たりとか、「すげーな!」って思う。

逆にファールをされることもありますか?)<記者>

俺もファール、めっちゃやられるっすよ。

審判が見てないところでヒジとか、全然あるっすよ。

足踏まれたりとか。

普通にまったく関係ないところですよ、ボールが全然逆サイドとかにある時に。

審判も向こう向いてて、みんなが向こうを向いてるじゃないですか?

そういう時に、わざわざこっちに来て、足を踏んだりとか。

「うわーっ!」(やられた)とか言っても、審判も見てないし。

ファールにもなんないから、結局自分の負けじゃないですか?

相手がやったことなのに。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
お邪魔した試合、結構良い写真が撮れていた感触だったのですが

2試合前に来て欲しかったっす(笑)

実は、2試合前の時に、俺点取ってて。

1-2で負けてる状態で、そこでスーパーシュート。

左からきたセンタリングを、右足のボレーでペナルティエリアの外ぐらいで。

バーンって入って、自分の人生で一番ぐらいのボレーで。

Banyuleが「もう長い間見ていないほど素晴らしいシュートだった」みたいに、インスタに書いて挙げるくらいの。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

状況も状況で、1-2で負けてる状態での同点弾で、めっちゃ盛り上がって。

でもその時の状況の写真が、1枚もなかったんですよ(笑)

俺の写真も、数枚しかなかったんですよ。

その時に、もっと自分の写真とかビデオがあったらなーって。

急なシュートとか遠くからのシュートだと結構撮るの難しいです(笑))<記者>

現在のチームについて

メルボルンを選んだのはなぜ?

日本でも、プロではないけど、良いところでやれるとか、もっと上でやれるとか言われてたっす。

でも大学卒業後の進路を考えたときに、海外でサッカーをやるか、日本のチームでお給料がないけどそこでやるかって、それを天秤にかけると、オーストラリアのほうが面白いなって。

ヨーロッパも最初は考えたんですよ、でも英語を学びたかったので、英語圏に行きたくて。

英語圏の中で、サッカーでセミプロがあるってなるとオーストラリアで。

1つ上の先輩がサッカーをしに、西オーストラリア州のパースに行ってるんですよ。

それで話を聞けて、オーストラリアっていいなって思って。

そのオーストラリアの中でも、メルボルンは一番レベルが高いって言われてるんで、メルボルンに決めました。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
海外に行こうと思っていましたか?

もともとまぁ外国が好きだったし、外国に住んでみたいってのもあったし。

でも大学でサッカーやってて、最初は日本でプロになるのが目標でやってて、でもそれは難しかったから。

外国でサッカーをやってみたいってのもあったし、あと英語、外国の文化とか興味あったんで、だったらもう行きたいなって。

チームはすぐに決まりましたか?

大学が全寮制なんですけど、退寮するのが1月なんですよ。

その前の10月11月ぐらいにオーストラリア行って、チームを探したほうが探しやすいじゃないですか?

ビザプレーヤーの枠とかもあるし。なるべく早く行ったほうがいいなと思ってたんですけど。

でもチームや大学の活動もあったんで、結局すぐに行けなくて。

1月半ばにオーストラリアに来たんですけど、1月だともう遅かったなって。

来るのが遅いと、上のカテゴリーのビザプレーヤー枠が埋まっちゃうんで。

結局トライアウトに行けたのが、Northcoteと今のチームだけで。

Northcoteはビザ枠が埋まってる状態で、取るならU23(23歳以下)だったらいいよって言われて、しかも給料は出ないと。

今のチームBanyuleは、主力選手として取ってくれるという話で。

結構迷ったんですけど、ちゃんと試合に出て、自分を欲してくれるチームがいいって、今のチームを選びました。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
契約をもらうまではどんな感じでしたか?

Banyuleの参加初日は、いきなり練習試合だったんですよ。

最初はめっちゃ緊張したっすね。

しかも経験のほとんど無いサイドバックで。

センターバックにビザプレーヤーも1人いて、他にも2人ぐらいセンターバックがいて、センターバックいっぱいいたんで、Banyuleはサイドバックが欲しかったんですよ。

俺がトライアウトに行く前に、サイドバックができるか?って言われて、「できます!」って言って。

練習試合でサイドバックやってみたいな。

その時の内容が結構良くて。

契約はすぐに?)<記者>

すぐっすね、でもNorthcoteと迷ってるっていうのも理解してくれて、待ってくれて。

Banyuleと契約しました。

コミュニケーションは取れましたか?)<記者>

いや、最初は全然取れなかったです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
今のチームは楽しいですか?

楽しいっすね。

監督はめっちゃいい人っすよ。

いっつもめっちゃ叫んでるっす。

この前の試合は静かでしたが??)<記者>

勝ってたからじゃないですか(笑)

監督から「仕事探してるか?」って聞かれて、探してるって言ったら、「俺の工場で働きたかったら働いていいよ」って。

今、監督の工場で働いてます。

仕事は冷凍食品とかのパッキングなんですよ。

仕事を探してる間とかは、お金が無くてマジでつらかったです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
お給料はどのくらいですか?

1試合●●●ドル、勝ち負け引き分け関係なしで。

あとはゴールとアシストでボーナスがあるんで、いっぱい点取っていっぱいアシストしたい(笑)

環境はどうですか?

こっちに来たら、週に2日か3日しか練習がない。

物足りないし、練習場のピッチもひどいんすよ。

それがちょっと難点です、週2の練習とピッチが。

ホームグラウンドもそうですし、練習場もそうですし。

練習場はクリケットグラウンドなんで、ピッチングとバッティングの位置を避けて、グラウンドをこうやって使ったり、ああやって使ったり(笑)

天然芝とかもボッコボコ、シニアが練習する前に、ジュニアがめっちゃ使ってます。

写真を撮りに来てもらった試合のところあるじゃないですか?(BulleenのDavid Barrow Stadium)

あそこの人工芝、地面がめっちゃ硬くて、かかとが痛い。

かかとが痛くて、それをかばってたら、もも裏が痛くて。

グラウンドがめっちゃ硬いっす、下が・・・

別の日本人選手はその会場で前十字靭帯断裂の怪我をしました。あそこは要注意です。)<記者>

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
エージェントは利用しましたか?

使いました。

それは使ったほうが良いと思います。

使わなかったら、どうやってチームを探すのかもわかんなかったし。

サッカー辞めたら、エージェントやるのも面白いっすよね。

目標とこれから

来シーズンの目標は?

もっと上でやりたいですね。

NPLとかでやりったいすね。

この前試合見に行った時に、慣れたらできるなって思ったっす。

NPLはビザプレーヤーの枠が2つしかないんで、難しいかもしれないですけど。

チームメイトからはVPL(NPLの下のリーグ)に行ってできるよって、VPLぐらいだったらできるよって言われるっす。

でもこっちは(日本人にとってはチームを見つけるのが)簡単じゃないからって(笑)

NPLのHeidelberg United vs AリーグのCentral Coast Marinersのオーストラリアカップの試合を見に行ったんですよ。

いいなー、こんなところでやりてーなーって。

人もいっぱいいるし、Olympic Parkのスタジアムもでかいし。

あとはオーストラリアがめっちゃ気に入ったんで、長く居るために永住したいっすね。

今、ワーホリで来てて、来年も居たいから、とりあえずセカンドビザ取らないといけないから、ファームジョブに行く予定です。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
来季のチーム探しは?

今のチームの監督のところで仕事をさせてもらってて、セカンドビザ用のファームを探すのも手伝ってもらってて、練習の帰りも家まで送ってもらってて。

来年違うチームに行くって言ったら・・・

来季用のプレー動画は作っていますか?

ビデオが欲しいんですけど、自分のチームは試合動画を撮ってなくて。

毎回コーチとかに聞いても、他のチームから送られてくるのを待たないといけなくて。

もし来季新しいチームとか探すのに、プレー動画とか作らないとダメじゃないですか?

でも持ってないんで作れないし。

本当に最初の数試合分ぐらいしかないんで。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

サッカーについて

オーストラリアと日本のサッカーを比べたら?

結構違うっすね。

オーストラリアはもうフィジカル重視。

全然戦術的じゃないし、サッカーIQがあんまり高くない。

オーストラリアは戦術っていうよりは個人個人、そこが違うなって思いますね。

オーストラリアに来る前に、オーストラリアのサッカーとか調べてて。

日本のJリーグとかプロでやってた人が、オーストラリアに来たからって活躍できるわけじゃないっていうのを聞いて。

こっち来て、あー確かにそういうことなんだなと。

やっぱりサッカーが違うと、活躍できる人とできない人が変わってくるのかなっていうのは思ったすね。

逆に自分は「上手い選手」じゃない、足元があって、テクニックとかでこう躱したりとかじゃなくて、どっちかというと走ったりとか競り合いがんばったりとか、そっち系の選手なんで。

俺、オーストラリア合ってんじゃないかって。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
サッカーをやめたいと思ったことはありますか?

ないっすね、逆にもう辞めれない(笑)

辞めるのが怖いっす。

3歳からサッカーやってるんですけど、サッカー中心の生活をずっとやってきて。

小中高とかだと土日が試合じゃないですか?だいたい。

絶対家族とか見に来るし、ビデオを撮ってもらって、家に帰ってごはんを食べながら試合のビデオを見るとか。

本当にサッカーを軸に生きてきたから、これを失ったら何が残るの?みたいな。

それをすごく考えさせられたのが去年っすね。

大学4年生の時に、いろんな人がみんな大学まではやっぱサッカーするじゃないですか?

そっから就職するかどうするかって、みんないろんなところに行く中で、俺も一応就活したんすよ。

「内定を1・2個は取っとけ」って言われてて。

就活してる時に、来年もし自分がサッカーやってなくて、会社員でスーツ着て、仕事行く姿を想像したんですけど。

いやダメだ!無理だなって(笑)

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

若い時にできるのはサッカーだし、親に恩返しできるのって、サッカーやってる姿を見せることが恩返しだなと思って。

自分の家族とか周りは、サッカーやってる自分のことが好きだし。

サッカーやってる姿とか、サッカーで頑張ってる姿を見せることが、まずは恩返しだなと思って、サッカーは絶対続けようって。

辞めたくないし、なんなら一生やってたいし。

本当に中心ですね、自分の軸みたいな。

お父さんもサッカーをやっていましたか?)<記者>

お父さんもずっとサッカーやってて。

高校3年生までで、そこから社会人で会社でサッカーやりながらですけど。

親の年齢言うと、「お父さん若い!」ってめっちゃ言われます(笑)

もし、今年オーストラリアに来ていなかったとしたら?

海外に行きたいって気持ちは、ずっと持ってたと思う。

もっと勉強してから、もっと行く準備をしてから考えてたと思う。

自分の中では、今年来たタイミングが、今が一番良かったって思えるようにするのが第一です。

オーストラリアのサッカー留学を勧めますか?

勧めたい!

オーストラリアに限ってなくて、海外を勧めたいですね。

やっぱり視野が広がる、自分の幅も広がるし、それが一番でかいっすよね。

別にサッカーをやってなくても、普通の人がオーストラリア来ても、自分の知ってる範囲から抜け出すじゃないですか?

それを知ることも大事だし、外から日本を見ることも大事だと思うんですよ。

それでやっぱり日本の良さにも気づけるし、こっちの良さにも気づけるし。

だからオーストラリアもそうだし、オーストラリア以外の外国に行くのはめっちゃいいこと。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

渡航と準備について

英語はどうですか?

英語はまぁ、ちょっと良くなってきたかなってくらいです。

まだまだ全然です。

最初に来た時は、全然聞き取れないし。

働いているところが、工場なんですけど、働いてる人が全員外国人なんです。

英語をしゃべらないといけない環境なので、それで多分自然と、少し理解できるようになりました。

英語で注文とかは大丈夫ですか?)<記者>

注文とかは、まぁできたかな。

でも英語聞くのって、難しくないですか?

聞いて理解するって。

なんか1対1でしゃべるのは、ちょっとできるようになってきたんですけど。

例えばチームのロッカールームで、みんながバーッてしゃべってるときとかは、何の話してんだ?みたいな。

そこは難しいですね、大人数でいる時とかは。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
来る前に英語を勉強して来ましたか?

ほぼしてないです。

興味があったから、映画見たりとか。

洋楽とかは昔から結構聞いてました。

勉強ができないんですよね。

学力が無い、勉強が苦手です(笑)

高校・大学って全部サッカーで行って、筆記試験を受けて入学したことが無いから・・・

お金はいくら持ってきましたか?

ワーホリの残高証明の基準みたいなのがあるじゃないですか?

その分は持ってきたっすけど、そのお金を崩しながらやってたんで、本当めちゃくちゃきつかったです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
海外に行くって伝えた時の親の反応は?

行く前・悩んでる時とか、最初は「日本でサッカーをやって欲しい」って。

だけど海外に行くのは、すごく背中を押してくれて。

心配してた?)<記者>

心配はしてたっす。

ワーホリが稼げるというニュースを良く目にしますが?

その人次第じゃないですか?

オーストラリアに来れば、お金をもらえるっていうふうには考えないほうがいいっすよね。

ここに来て、何をするかじゃないですか?

仕事を探すのも大変じゃないですか、レジュメ配ったりとか。

仕事探しは大変だった?)<記者>

やってないっす(笑)

やる前にすぐに工場の仕事をもらって、めちゃくちゃラッキーでした。

めっちゃ運良いわーって(笑)

サッカーやってると、普通にワーホリで来る子よりは、もしかしたら有利かもしれないです。

最初からエージェントとの繋がりがあったりとか、サッカーで繋がれたりとかするから、それはあるかもしれないです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

メルボルンについて

メルボルンって寒くないですか?

今ちょっと温かくなってないですか?

この前までやばかったです、めちゃくちゃ寒かったです。

俺、オーストラリアって一年中あったかくてって思ってたんですよ。

友達がゴールコーストにいて、そいつが言ってたのは、なんかもう、ずっとあったかいし、みんな裸足だよみたいな。

みんなもうショッピングモールとか、そこらへん裸足で短パン半そでみたいな。

マジか?みたいな。

メルボルンに来たら寒いし、ちゃんとみんな靴履いてるし(笑)

でもメルボルン、めっちゃいいですよ。

景色とか町並みがめっちゃ好きっすね。

都会と自然がちゃんとあるみたいな。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
来たばかりの頃は?

オーストラリアに来て初日にNorthcoteの練習試合があったんですけど、その試合を見に行って、Northcoteの日本人選手としゃべって。

そこから3日間ぐらいは、その人にいろいろ教えてもらったりして助けてもらって。

今まで1人では、ほとんど何もやってなくて。

誰かに助けてもらっている状態で、今まで来てるから。

本当に助けられてるなーって。

友達や知り合いもゼロのまま、全部自分で調べてっていうのは、自分はあんまりやってないほうだと思う。

住んでいるのはシェアハウスですか?

Airbnbで見つけました。

ずっと今のところに?)<記者>

今のチームが、Bundooraにシェアハウスを持っていて、最初はBundooraハウスに住めるって言われてたんですよ。

だからそれまでの期間、1週間だけはAirbnbに泊まろうってなったんです。

でもそれから全然シェアハウスの話が無くて。

結局そこが満員だとわかって、入れる時期が伸びて伸びて、また伸びてみたいになって。

じゃあもういいやって。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

じゃあ家賃は個人負担で?)<記者>

チームのシェアハウスに入れば、家賃は要らなかったんですけど、今の家賃は自分で払ってます。

家は普通の一軒家で、ホストマザーがいて、そのおばあさんと二人で住んでます。

棚とか自分が足りないものとか、いろいろと買ってくれて。

俺、日本人だから米を食いたいじゃないですか?

そしたら炊飯器買ってきてくれて、めっちゃいい人です。

めっちゃ自由で、ほぼ一人暮らしみたいなもんです。

ホストマザーがめっちゃいい人だから、全然良かったですね。

一か月前くらいに、コーチとオーナーからBundooraのシェアハウスに入りたいか?って聞かれて。

部屋が空いたから来れるぞって言われたんですけど、今のほうが良いから断ったんです。

いつも普段は何をしていますか?

平日はずっと工場・ジム・練習みたいな、毎回同じルーティンで、最近ずっと同じだからつまんねーなって思ってて。

仕事場の工場がちょっと大変なんですよ。

たまにきついです、忙しくて。

重たいものも持つし、時間が長いっすねー。

朝7時からなんですけど、それでも普通に終わると3時なんですけど、定時で終わることはほぼないです。

だいたい残業っすね、長くて6時まで、この前は7時までやったっすよ。

朝7時から始まって夜の7時まで・・・

残業代が1.5倍とかで、めっちゃもらえてたです。

お金はめっちゃもらえるんですけど、時間が仕事に取られるから。

平日の時間があんまりないですね。

ジムも行ってるんで、仕事終わってジムに行って、練習行ってってなると、本当に時間が無い。

仕事のある平日の3日間が大変ですね。

仕事が無い時は、昨日はなかったんですけど、3日分の疲れを癒すのに、昼前ぐらいに起きて、それからジム行って練習行って。

毎日ほぼ一緒っすね(笑)

ジム行って練習、仕事行ってジム行って練習って。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
遊びに行ったりは?

土曜日とか。

チームメイトか、同じ工場で働いているコロンビア人とかと一緒に。

工場にコロンビア人がいっぱいいるんですよ、ベトナムとかアジア系もいて。

コロンビア人は男の子も女の子もいっぱいいて、結構仲がいいから、そいつらと遊びに行ったりして。

日本人と遊ぶことは?

日本人の友達がいなくて。

日本人の友達と遊ぶのは、ほとんど無いです。

こっちの日本人と繋がろうとは?)<記者>

あんまり思わないですね(笑)

こっちの人のテンションとかマインドとかが好きだから。

工場にも、日本人が俺ともう1人しかいないんですよ。

その人とはしゃべったりもするんですけど、仕事をする場所が違うんで、仕事中はあんまりしゃべれなくて。

本当に日本人としゃべることって、マジでないです、本当にないです。

オーストラリア来て1週間ぐらいは、いろいろ助けてもらったNorthcoteの日本人の選手がいたっすけど。

自分の家が決まってからは、会ってなくて。

日本人と話すことはほんとどないですね。

こんなに長く日本語をしゃべること自体、今日のインタビューで久しぶりですね。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
楽しかったことは?

楽しかったことはいっぱいあるっすよ。

チームメイト、自分の1こ下ぐらいのチリ人がいたんですけど。

そいつ、同じチームで、同じくらいのタイミングでこっちに来て、仕事も同じだったんですよ。

もうめっちゃ仲良くなって、そいつと一緒に遊びに行ったりしてて、めっちゃ楽しかったですよ。

でもそいつ、先週にチリに帰っちゃって。

あんまり試合に出れなくて、家族が恋しいって、それで帰っちゃったんです。

でも楽しいことのほうが多いです。

困ったことは?

チームとか、仕事が決まるまで、お金を切り崩してたんで。

お金がない時とかって、節約しなきゃって、ちょっとどんどん追い込まれてたんです。

それがすごいストレスでした。

めっちゃ大変でしたけど、オーストラリア来て、最初に思ったのが、ゲーム・テレビゲームみたいにこう、主人公がどんどん一個ずつ、ステップアップしてクリアしていくじゃないですか?

例えば、今日は「銀行の口座を作った!」とか、全然小さいことでもいいんですけど、ちっちゃいことでもどんどんミッションだと思って、自分がゲームの主人公だと思ってやってたっす。

自分をレベルアップするんだみたいな、だから寂しいとかも全然思わなかったし、それがすごい楽しかったです。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

違う国に来て、全部上手くいくとは思ってないし、上手くいかないこととか、苦労するとかって絶対あると思うし、だったらそれを楽しむしかないし。

好きなことに挑戦したほうが、自分が最後、めっちゃ歳をとって死ぬときとかに、「やっぱいい人生だった」って思えるように、思いたいからここに来たみたいな。

日本に留まるんじゃなくて、海外に来て生活をして、そういうことをやったほうが、自分のしてきた人生を好きになれると思うんです。

差別されることはありますか?

サッカーも他でもそうですけど、見た目でも何でも、アジア人に対しての、そういうのあるじゃないですか?

たまに感じたりはするっすね。

多分、差別の多い国に比べると、全然少ないとは思うんですけど。

サッカーの時とかも、1回あったのが、自分がファールして、あとから謝ったんですけど。

そしたら、「お前日本人だろ?ジャパニーズだろ」って言われて、ワーワー言われて、なんかそういうのあるなって。

そういう時に、絶対負けたくないっすね。

日本人だからって、舐められるの嫌なんですよ。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

メルボルン生活での体験談

ちょっと怖い話

友達と車の中にいたんすよ、家の前の通りで。

夜中の1時くらいに、車の中でしゃべってたんですよ。

そしたらいきなり知らない人が、車のドアをガチャって開けようとして。

友達がおもいっきりドアを閉めて、そしたらその人、普通に歩いて行ったんですけど。

俺は見てないんすけど、友達が言うには、金属を切る丸い刃が回るグラインダーみたいなのを持ってたって。

でも俺らの車だけなんですよ、開けようとしてたの。

車がいっぱい止まってるのに、他の車には行かなくて。

車を盗もうとしていたのかもしれないですね)<記者>

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
めちゃくちゃ怖い話

ここに来てすぐの時に、Uber(タクシー)を使いたくて。

Didiってわかります?

DidiってUberみたいなアプリなんですけど、Didiのほうが安いんですよ。

利用料金が最初に設定されていて、それを払ったら車が来てくれて。

夜遅くてちょっと遠かったんですけど、この時は合計で30ドルぐらい払いました。

車に乗せてもらって、家に帰ってる途中だったんですけど、運転手がいきなり「現金持ってるか?」みたいに聞いてきて。

なんで??みたいな?

「いや、料金が足りない」みたいなことを言ってきて。

え?最初に払ってるし。

そしたら「払わないとダメだ」みたいに言ってきて。

いや、こっちはもう払ったから無理、払わないって言って。

そしたら運転手がいきなり、ノーハンドルドライブ、手を放して運転をしだして。

もう事故りそうなんですよ、ずっと。

道の脇に車が停まってるじゃないですか?

車に当たりそうになったら、グイってハンドルを戻して、そういうのをやりだして。

と思ったら、いきなり急に、運転手が自分自身の頭をカンカンカン!みたいに叩き出して。

ええええ?何してんの??って。

そしたら運転手が「頭が痛えんだよ!」みたいに言いだして、「頭がいたい、あああぁぁ!」みたいに、イカれた人みたいになって。

こっちは「もうお金は払ってるから、ここで降ろせ」って言ったんですけど。

運転手は「俺はちゃんと最後まで送り届けるんだ」みたいなことを言って。

マジで言ってることとやってることが・・・

あーこれが外国かー!って(笑)

なんとか無事に着きましたけど・・・

最初に迎えに来た時は、まったく全然普通の人で、普通に挨拶をして普通のアラブ系のおっさんって感じで。

良い人だなって乗ってたら、途中からいきなり豹変して、もう本当に事故りそうだったんですよ。

完全にわざとですよ、お金がぼったくれないから。

日本人で英語が全然しゃべれないのがわかったから、そうしてきたんだろうと。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
日本人Youtuberに出会う

オーストラリアに来る前とか、「オーストラリア サッカー」とかで調べてたら、Youtubeでxxxxxって出てくるんですよ。

それを見たことがあって、こんな人いるんだーって思ってて。

でオーストラリアに来て、工場を紹介してもらって行ったら、目の前に居たんですよ!

金髪で本読んでて、Youtubeで見た人がいる!って、Youtuberだ!って(笑)

その人もサッカーをしてて、CさんっていうYoutuberです。

仕事中とかいろんな事考えるんすよ、将来のこととか、不安にも心配にもなったりとか。

ここに長く居たいってのがあるんで、そのためにどうしようかとか、これをしないといけないなとか、大丈夫かな?とか。

すごく良い人で、そういう話を一緒にしゃべったりしますね。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
選手が突然消える話

観光ビザで3ケ月オーストラリアにいて、他の国に行って観光ビザで戻ってくるみたいなの良く聞きますね。

他の外国人の人もちょくちょくやってて。

長期滞在のビザが切れて観光ビザで何回も入国するって話は昔からありますね)<記者>

うちのチームにもポルトガル人の選手が居たんですよ、ニュージーランドに2・3日行って、戻ってくる時に、それがダメだってことで、ポルトガルに帰らされたんですよ。

でも同じことをした、別の国の選手は大丈夫だったんですよね。

ポルトガル人は、携帯の中身を全部空港で見られて、監督との給料とかのやり取りを携帯から消し忘れたらしくて。

別の選手は、それを全部消してたんですよ。

知り合いの選手もめっちゃ危なかったらしくて、2時間ぐらい空港で調べられて、でもなんとか入国させてもらったみたいで。

オーストラリアが好きでも、長く居続けるっていうのが難しい。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

日本と将来

日本に帰る予定はありますか?

ファーム終わってからですかね、日本に帰るとしたら。

でも来シーズンのチームを探さないといけないんで。

ファーム終わるのが多分11月か12月の前半くらいっすね。

俺、多分フルーツのパッキングっす。

今も工場でパッキングやってるんで、あんまり変わらないかなって。

めっちゃ「すき家」が食べたいっす。

あれ作れないです。

日本に戻りたいですか?ここに永住したいですか?

オーストラリアに永住したいっす。

親には会えないけど、帰って会うことはできるんで。

俺、日本には住みたくないんすよ。

こっちのほうが合ってる。

やっぱり狭いなって思うんです、人とかも。

日本語も難しいなって思うんですよ。

外国人の友達に、日本語教えてって言われるじゃないですか?

敬語とかめっちゃあるじゃないですか?いっぱい。

なんでおれ日本語しゃべれるんだろう?って(笑)

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

こっちの人のカジュアルさが好きです。

日本のその目上の人とか、敬語とか、めっちゃ歳が離れてる人だったらわかるんですよ。

1つ上の人とかにも使わなきゃいけない。

敬語使うと、なんか自然と壁ができちゃう。

英語だとそれが無いじゃないですか?

そういえば、年齢何歳なんですか?みたいな。

聞いたらめっちゃ年上で。

そういうところもこっちが好きっすね。

日本だとちょっと変わってたら生きづらい、「普通」じゃないといけないんですけど、こっちに来たら「変わっててもいいんだ」って思えるところも好きです。

日本に居た時とか、感じなかったですけど、こっちに来てから、めっちゃ周りの人に恵まれてるなって。

会う人会う人、みんな助けてくれるって。

だからラッキーだなって。

オーストラリアには長く居るつもりっすよ。

あとはそのために何が必要か、そのためにどうしようって考えるのが大変っす。

こっちに長く居るためのことをしないと。

Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手
Banyule City SCでプレーする伊藤拓夢選手

伊藤拓夢 / Takumu Ito

平塚学園高校、流通経済大学出身。

大学卒業と同時に21歳で、オーストラリアのメルボルンへ。

2024年シーズンから、メルボルンのState League1、Banyule City SC加入。

伊藤拓夢選手の今後の活躍に応援お願いします

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